「いったい誰が使うのか」 JR東日本「QRコード改札」導入に私が感じた疑問と中国での既発トラブル
実用化は東北地方から
切符は消滅し、QRコードで乗る時代になるのか――。JR東日本が11月8日、QRコードを利用した乗車サービスの導入を正式に発表した。
同社のプレスリリースによれば、サービスはBRT(バス高速輸送システム)運行区間を除く、JR東日本エリア新幹線と在来線の全線が対象となる。なお、予約サービス「えきねっと」で予約・購入した場合に利用できる。
購入後、アプリ上に表示されるQRコードを自動改札機にかざすと、新幹線・在来線ともにチケットレスで乗車できるようになる。対応する新型改札機は、東京都渋谷区の代々木駅に12月、始めて設置される予定だが、実用化は東北地方から進める。
なぜ、東北地方から段階的な普及を進めるのか。それは、2001(平成13)年に導入以降、拡大が進んでいるICカード乗車券「Suica」未対応の駅が少ないからだ。Suicaに対応する改札機は高額で維持費も掛かるため、地方路線は従来の切符(磁気切符)しか使えない駅が多いのである。
JR東日本のプレスリリースでは、代々木駅に設置予定のSuica、切符、QRコードに対応した新型改札機が紹介されているものの、地方路線で同様の改札機が使われるのか、QRコード読み取りのみの改札機になるのかは、現時点で不明だ。
ただ、新型改札機導入については、「裏面が黒い磁気切符は、削減を進めて廃止も視野に入れ、コスト削減につなげる」(『秋田魁新報』2022年11月9日付朝刊)としており、メンテナンスが必須で導入コストの高い、切符対応の改札機が廃止に向かうのは明らかである。
ただ、JR東日本ではすべてをQRコード対応にするとは考えていない。青森・岩手・秋田の三県では2023年春をめどに、44駅でのSuica対応が予定されている。11月8日に定例会見を開いた同社の深沢祐二社長は
「Suicaを使える駅の拡大は従来通り続ける。無人駅など利用の少ない駅ではQRコードを活用してほしい」
と述べている(『東奥日報』2022年11月9日付朝刊)。