「いったい誰が使うのか」 JR東日本「QRコード改札」導入に私が感じた疑問と中国での既発トラブル
日本のキャッシュレス決済割合の低さ

国際カードブランド「UnionPay」を運営する銀聯国際日本支社(本社・上海)が2021年8月に発表した「現金とキャッシュレス決済に関する調査」によると、一月あたり実店舗での現金支払いの使用額は日本が2万663円に対して、中国は86%減の2848円となっている。
同調査では、キャッシュレス決済手段の保有率も公表されている。結果は、次のとおりだ。
●日本
・クレジットカード:90.0%
・電子マネー:68.0%
・スマートフォン決済:54.0%
●中国:
・スマートフォン決済:86.0%
・デビットカード:71.0%
・クレジットカード:60.0%
こうしてみると、QRコード決済は存在感を強めているものの、利用者はまだ少ない。
また、経済産業省は2022年6月に「2021年のキャッシュレス決済比率」を公表している。2021年、日本でキャッシュレス決済が使われたのは決済全体のたった32.5%で、内訳は次のとおりだ。
・クレジットカード:27.7%
・デビットカード:0.92%
・電子マネー:2.0%
・コード決済:1.8%
こうしてみると、JR東日本のQRコード改札の導入は
「いったい誰が使うのか」
と感じざるをえない。
スマートフォンを持っていない老人や子どもが存在することを考えれば、QRコード導入から、すぐに切符が廃止されることも起こりえない。前述のように「ほとんどの人がQRコード決済を使って買い物をしている」イメージのある中国でも、利用者は86.0%なのだ。
中国の多くの都市では、バス乗車時にコロナ陰性証明のQRコード提示を必須としているが、一方、高齢者がバスを使えないという批判も起きている。ちなみに批判に対するバス会社の回答は
「家族か親切な人にQRコードを使う方法を聞いてください」
である。
導入費用やコストの点で、QRコードが優れているのは確かだ。しかし、読み取り速度を改善できないなら、混乱を生むだけになるが、皆さんはいかがお考えだろうか。