京葉工業地域を支える「第二東京湾岸道路」計画! 長年の争点は環境問題、もはや経済成長だけを考える時代ではない

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構想段階にある「第二東京湾岸道路」。同道路は千葉県市原市から東京都大田区までを結ぶ予定だが、環境運動の大きな反発を受けている。

京葉工業地域が抱える深刻な渋滞

京葉工業地域(画像:写真AC)
京葉工業地域(画像:写真AC)

 京葉工業地域――千葉県富津市から東京都に隣接する浦安市まで東京湾沿いに広がる工業地域のことであり、機械・金属・製油をはじめとするさまざまなジャンルの企業や工場、倉庫が立ち並ぶ。学校の社会の授業でも学習するので、聞き覚えがある人も多いことだろう。

 また、物流面においても京葉工業地域は重要視されている。国際的な海上輸送の拠点として特に重要であると国から位置づけられている「国際拠点港湾」に指定されている千葉港が域内に存在することに加えて、日本の空の玄関口と名高い成田国際空港にもほど近い。このように、京葉工業地域のプレゼンス(存在感)は高く、関東圏のみならず、日本全体にとっても無くてはならない存在だ。

 そんな京葉工業地域内の移動や物流を支える“大動脈”とも呼べる道路が、前出の東京湾岸道路である。京葉工業地域内において、特に一般部に関しては、そのほとんどの区間で工業団地と市街地の境界線とも言える場所を通るため、京葉工業地域関係者のみならず、近隣住民にとっても無くてはならない存在だ。

 だが、東京湾岸道路は京葉工業地域内各所で深刻な渋滞事情を抱えている。特にひどいのは、人口密集地域と隣接している千葉市から船橋市の区間だ。

莫大な渋滞損失時間

湾岸地区の道路交通状況(画像:千葉国道事務所)
湾岸地区の道路交通状況(画像:千葉国道事務所)

 2020年に国土交通省関東地方整備局千葉国道事務所が主催した「千葉県湾岸地区道路検討会幹事会」における資料を見てみよう。この資料によると、東京湾岸道路を構成する国道357号に渋滞損失時間(本来の通過時間と比較して、渋滞によって余計にかかった時間)の多さを示す赤い棒グラフが乱立していることが伺える。前述の京葉工業地域のプレゼンスを考えると、東京湾岸道路におけるこの渋滞損失時間が、そのまま日本の経済損失につながると言っても過言ではない。

 代替ルートを探したいところだが、なかなか状況は厳しい。一般道路の幹線道路としては千葉街道(国道14号の一般道路区間)が近隣に存在するが、基本的に片側2車線の東京湾岸道路の一般部に対して、千葉街道は片側1車線。東京湾岸道路の一般部よりも低規格であることに加え、低規格の割に交通量が多く、それゆえ渋滞も激しいため、代替ルートとなり得ない。

 一般部がダメなら専用部はどうだろうか。残念ながら、専用部である首都高速湾岸線および東関東自動車道、それに東京湾岸道路に並行している京葉道路(国道14号の有料道路区間)も渋滞が頻発している。また、専用部へアクセスするためには、一般部を経由しなければならないため、必然的に一般部の渋滞に巻き込まれてしまう。

 京葉工業地域は大動脈のいたる所に血栓ができ、別の動脈とも呼べる近隣の幹線道路も血栓だらけだ。これでは工業団地や近隣市街地に毛細血管の如く張り巡らされた道路も機能不全に陥り、京葉工業地域は壊死(えし)してしまう。それは日本経済にとっても致命傷になり得る病状だ。

 京葉工業地域が抱える問題は、これほどまでに深刻だ。こんな状況を打破すべく、無理をしてでも新しい動脈を通さなければならない。そんな重要な使命を帯びているのが、第二東京湾岸道路なのだ。

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