赤字額は「5億円超え」も 山口県「岩徳線」が廃線にならない特殊事情

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現実味を増してきた赤字ローカル線の存廃問題だが、山口県内を走る岩徳線の場合、そうも簡単にいかなそうだ。その理由とは?

県知事・岩国市長も反対の姿勢

岩徳線の風景(画像:写真AC)
岩徳線の風景(画像:写真AC)

 沿線で存続を求める意向は強く、2022年6月には山口県の村岡嗣政知事が、国土交通省に対して鉄道事業法を見直し、事業の廃止や運行計画の変更手続きに対して地域の実情を反映することを要望。岩徳線を始め、県内の赤字区間の廃止議論にくぎを刺している。

 また、上下分離方式(施設の整備・保有主体と運営主体を分離すること)を求める動きに対しても、収支公表直後の4月、岩国市の福田良彦市長は

「民営化した経緯を踏まえ、赤字路線も含めて全体のネットワークとして維持・運営されていくものと考えている」

と受け入れを前提としない意向を示している。

 県や沿線では2017年以降、JR西日本と地域振興に関する連携協定を締結し、観光客誘致や利用促進を実施してきた経緯がある。2022年も、岩国、周南、下松の沿線3市がつくるJR岩徳線利用促進委員会が、岩徳線の各駅を巡るスタンプラリーを実施中だ。

 これまで利用促進に協力してきたなか、暗に廃止を含む議論となれば、承服しがたいのは明らかである。議論が行われれば、経路特定区間の問題がどう扱われるかも気になるところだ。

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