70~80年代の日本で大活躍! イギリス名門バイクの「エンジン」がライダーを魅了し続けたワケ
イギリスの名門モーターサイクル「トライアンフ」。1930年代に注目を集めたそのメーカーのエンジンは、70~80年代の日本で大いなる活躍を見せた。半世紀を超えてライダーやレーサーに愛されたその軌跡をたどる。
戦後日本、オートレースで存在感
サンダーバードとタイガー110が投入された後も500ccモデルは併売されており、いずれもトライアンフに多くの名声と企業的な成功をもたらすこととなった。
そして1959年、最強のスポーツモデルというべき650ccのT120ボンネヴィルがデビューする。
アルミヘッドにツインキャブを装備したボンネヴィルは、ストリートモデルとしてのほか、ロードレース、ドラッグレース、モトクロスなど、レーシングマシンとしても圧倒的な高性能を発揮。本国イギリスだけにとどまらず、北米市場での人気モデルの座を獲得することとなった。
一方、わが日本市場でのトライアンフだが、戦後間もなく日本に駐留していた連合国軍人が持ち込んだスピードツインやタイガーに加えて、サンダーバードやタイガー110などがその高性能さで注目を集めると同時に、経済的に裕福な層による直輸入車が民間人の手に渡ることとなる。
1950(昭和25)年からは日本国内で現代のオートレースのルーツというべきギャンブルレースが始まると、一部のライダーがトライアンフに注目し、主として650ccのエンジンをレースで使用し始めた。
トライアンフと同じイギリス製のJ.A.Pやマチレスなど、単気筒エンジンが大勢を占めていた1950年代のオートレースにおいて、圧倒的パワフルだったトライアンフはボンネヴィルのツインキャブ仕様が登場すると次第にその勢力を増していった。