「海のJRになりたい」 秋葉原の元パソコン少年が水上モビリティのスタートアップを立ち上げたワケ
2025年の法改正を目指す

さらなる課題として、法整備がある。現在、2025年の「海上衝突交通安全予防法」改定に合わせて、自律航行船の法整備も働きかけようと、あらゆる場所で実験を繰り返し、安全性、あるいはニーズがあることの証明を行っている。
この法律では、船長の役割(周囲の安全性に気を配り、適切な見張りをすること、あるいは適切な見張りの定義)や、カメラとマイクとスピーカーをつかっての遠隔監視などが要件となる。これらをクリアできれば、遠隔で船の安全な航行を行うことがもっと手軽になる。しかし、万一事故が起きた時どうするかなど、課題も依然残されている。
「最初は特区など、一部のエリア限定でのスタートになるかもしれない」
と木村は考えている。
それでも全面的に一気に変わる日が来るだろうとも。水上モビリティは何も海に限ったものではない。2025年には水都・大阪で万博が開かれる。大坂を流れる川や運河で、水上モビリティが活躍するチャンスが大いに期待される。
陸路依存からの脱却

なるべくなら迂回せず、「直線的に移動したい」のが人間の心理だ。しかし、川や海に邪魔をされることもある。直線移動を可能にする水上モビリティの実現は、場所の移動の最適化にふさわしいと木村は言う。
「海の道を作って、海のJRみたいになれたらいいですね」
とほほ笑む。
海の道の向こうには、海を起点とした新しい経済圏ができ、海からしかいけないレストランのようなものができ、最終的に海上都市が大きな事業になるだろう。
また、コロナ禍においては、アウトドアのレジャーが隆盛で、プレジャーボートの人気も高まっている。海に人が目を向け始めていることを、木村は見逃さない。「もっと海に目を向けてほしいですね。海は世界につながっていて可能性は無限です」(木村)
ロボットと海を愛する心、離島育ちのロボットエンジニア、マリンレジャーの好きな大黒柱。3人の化学反応で日本唯一の水上モビリティスタートアップとして飛躍しようとしているエイトノット。海の交通網を張り巡らせるための航海は、これから一層楽しみなところへと進んでいくのだろう。