商品値上げの戦犯扱い! 生活と切り離せない「物流」が、それでも重要国策と位置付けられないナゾ

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われわれの生活基盤そのものを担う物流。しかし、国策という観点から考えると、その位置づけは十分なものと言えるかには疑問が残る。

値上げの背景に物流コストの上昇?

物流のイメージ(画像:写真AC)
物流のイメージ(画像:写真AC)

 われわれの生活基盤そのものを担う物流。その停滞やコスト上昇は昨今、社会的問題として取り上げられている。そうであるならば、物流は国策としてさらに取り上げられてもいいはずだ。

 国民生活に密着する物流やロジスティクスについて、経済基本課題としてもっと俎上(そじょう)に載せていくべきだと筆者(野口英雄、物流コンサルタント)は考える。

「骨太の方針」に含まれない現状

 ここにきて目立つようになった商品値上げ。その要因として、必ずと言っていいほど物流コスト上昇が挙げられる。

 物流費高騰が値上げの元凶とされ、社会コストとして重要であるならば、もっと国策として位置付け、取り組まれるべきではないか。

 少なくとも「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」には入っておらず、それが経済財政の根幹問題だけであるなら、このあしきインフレをどう克服するのか道筋を示す必要がある。

 4年ごとに「総合物流施策大綱」なるものは出されているが、もはや物流ではなくロジスティクスという概念の方がふさわしい。

 物流とはあくまで物理的な単一機能のレベルであり、それを物流システムとしてロジスティクスにつなげ、さらにサプライチェーンという企業間管理連鎖概念にする。これが競争戦略に相当するなら、迫力を欠く印象がぬぐえない。

 もっと経済再生の手段としての側面を打ち出してもいいと考えることもできる。

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