宅配だけではない! 今注目すべき物流事業の「宝の山」とは
宅配や引っ越しなどの消費者物流領域は相対的に高収益になっている。しかし、物流事業の今後の「宝の山」はどこにあるのか。
免許書返納で感じたこと
筆者(野口英雄、物流コンサルタント)は先日、長年お世話になった免許証を返納する決断をし、所轄の警察署へ足を運んだ。身分証明書をもらうつもりで、指定サイズの顔写真を持参した。
しかし、対応した若い女性に「顔の大きさが規定通りではない」と突き返された。さらに、外の写真撮影機で撮るように言われたが、長蛇の列であったので止めた。対応はとても事務的で、好印象ではなかった。この女性の資質ではなく、これが警察の姿勢だと感じた。
返納者数は増加傾向にあり、2019年に過去最多を記録した(60万1022人)。理由はいうまでもなく、同年に発生した池袋暴走母子死亡事故によるものだ。
警察署には、今後も高齢者が返納に多く訪れるだろう。その時は、一言でもいいので「ご苦労さまでした」と感謝の言葉を伝えてほしい。
いささか私的なことを先に書いたのは、物流事業に従事する人たちも同じように、一般消費者から感謝される機会がないためだ。それゆえ、彼らは自己の存在感を忘れてしまっている。本来は、もっと誇りを持てる仕事であるはずだ。
かつて、クリスマスに向けた外食産業の仕事で、出荷量が10倍程度に跳ね上がることがあった。会社の事務方も動員し、すいている車は何でも使った。冷蔵倉庫事業では毎年、年越しそばのえび天(冷凍に調理済み)が、同じようだった。季節の年中行事とはいえ、やり切った時の解放感は何とも言えなかった。
このときに筆者の脳裏をよぎったのは、物流事業は
・電気
・ガス
・水道
・交通
などのインフラビジネスと同じという思いだった。この記憶は体に染み付いていて、いつまでも決して忘れることはない。