バキバキに割れた「車のガラス」がアート作品に? 厄介な廃材が美しき画材に転生できたワケ
これまで埋め立てするしかなかった自動車のガラス廃材が、絵の具としてリサイクルされて発売されている。画材としての美しさだけでなく、地球環境にも配慮しているという特徴がある。
プラスチックの中間膜をはがすことに成功

ディンプルアート普及協会は、自動車のガラス廃材をリサイクルした絵の具「ディンプルアートカラー」を製造し、発表した。2022年5月9日(月)現在、クラウドファンディングサービス「Makuake」で先行販売を受け付けている。
同会によると、車から出るガラス廃材はこれまで新たなガラスの原料としてリサイクルできず、産業廃棄物として埋めるしかなかった。
車のフロントガラスや建築用ガラスなどは、強化目的や割れたときの飛散防止などの理由から2枚のガラスをプラスチック樹脂の中間膜で貼り合わせており、中間膜をはがす技術が無かったためだ。
埋め立てという環境に負荷の掛かる状況を打開したいと考えたのが、宇都宮大学の木村隆夫名誉教授。同大在職中に研究を重ね、中間膜をはがすことに成功。さらに、塗料を混ぜて着色し、絵の具として活用すると独特の凹凸模様が浮かび上がることを発見した。
既存の絵の具とは異なる風合いを楽しめ、環境にも配慮したディンプルアートカラーを普及させようと、専用アクリル板や絵の具10色などの画材セットをMakuakeにて先行販売中。
同会はディンプルアートの魅力について「ステンドグラスのようなさざ波模様と、環境保全に貢献できるリサイクルアート、また筆を使わないので子どもからお年寄りまで楽しめる」点としている。