カーマニアの神髄! 実に奥深き「キットカー」の歴史をご存じか
ある程度組み立てた半完成の状態で販売される「キットカー」。完成車に掛かる税金を節約する目的で生まれた販売方法だが、自動車への理解を深める欧米の自動車趣味のひとつとして愛された。
英の格安キットカー 1958年型
ボディからシャシーまで全てオリジナルで、エンジンも特別に仕立てた専用品だった1957年の初代ロータス・エリートのような高価なものから、キット化されていたのはシャシーの一部のみであり、完成にはエンジンやトランスミッション、前後アクスルなどを解体車から流用する必要があった安価なものまで、多種多彩だったと言って良いだろう。
完成までに必要な時間は最短で20時間程度、最も長いものでも100時間ほど。組み立ても、部品を説明書通りにボルトどめすれば良いだけのものから、解体車から取った部品を切断加工し、場合によっては溶接し直すといった、素人の手には余るメカニックとしてのスキルを要求するものも珍しくなかった。
要するに、お金で手間を省くか? それとも手間と技術は惜しまずお金を節約するか? という2択を自由に選択できたということである。こうした作業を通じて自動車への理解を深めていたのもまた、欧米の自動車趣味のひとつだった。
さて、ここで紹介するのはイギリスのややマイナーなキットカーであった1958年型のトーネード・サンダーボルトである。
トーネードというメーカーは、多くのキットカーの中で最もリーズナブルだった存在。特にベーシックモデルだったタイフーンは、同年代のロータス・エリートのキットカー価格が5000ポンド以上もしたのに対して、5分の1の1000ポンド程度と格安だった。
キットにエンジン&トランスミッション、前後アクスルなどは含まれておらず、他に1930年代の古いフォード・サルーンをドナーカーとして用意、エンジンやトランスミッションその他をそこから調達する必要があったが、それらは1950年代末の相場でオーバーホール費用込みでも500ポンド以下だった。