自動車「任意保険」未加入はなんと10%! 自賠責の代わりに「義務化するべき」は暴論か、それとも真実か
保険会社が動けないケースもある

概況には人身事故の高額賠償判決例として、
・41歳開業医の死亡事故:5億2853万円
・30歳公務員の後遺障害:4億5381万円
など挙げられている。
対物(物件事故)でも積み荷の賠償が2億6135万円、パチンコ店への賠償が1億3450万円と、ほとんどのユーザーにとってポケットマネーで解決できるような額ではないだろう。にもかかわらず、10台に1台が任意保険に未加入のまま公道を走っている。
もっとも、逆に考えれば10台中9台は任意保険に入っている。筆者はもちろん、本稿の読者のほとんどはそうに違いない。であるなら、逆に未加入の車からいかに自身を守るかという話になる。
交通事故の加害者が未加入の場合、泣き寝入りかそれに近い状態になるケースは少なくない。お互いに過失割合が発生する「過失相殺」なら保険会社は動いてくれるが、10対0で未加入車側に100%の責任があると判断された場合は原則、保険会社は動けない。過失がない側の示談交渉は
「法律上できない」
のだ。
やはり最低限の防衛策として、任意保険には弁護士費用特約はもちろん、
「無保険車傷害特約」
も付帯するべきだろう。常識的なユーザーからすれば「何を当たり前な」かもしれないが、本当にその「当たり前」が通用しない人が存在するのだ。
現に10台に1台は任意保険に入っていない。先に触れた商用車の一部を鑑みても、そうした非常識なユーザーが公道に存在する。
車検切れの自動車は1000台に1台

さらに恐ろしい話をするなら、この国には任意保険の未加入どころか、自動車損害賠償責任保険(自賠責)にも入っていない「無保険車」が走っている。
国土交通省が2019年に発表した「車検切れ運行車両対策の実施結果」によれば、2018年9月から2019年3月までに35都道府県で調査した結果、
「3万7403台中、43台が車検切れ(0.11%)」
つまり自賠責に入っていなかったと考えられる。
この調査は「可搬式ナンバー自動読取装置」を用いたもので、ナンバーを返納しないままの保管車や在庫、部品取り車の類いは入っていない。純然たる公道走行車両に対する補足調査である。
たった0.11%の話だが、そんな無保険車が存在するのは事実、いつあなたと絡むかわからない。無車検は違反点数6点で6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、無保険は違反点数で1年以下の懲役または50万円以下の罰金である。もちろん免許停止となるが、下手をすれば無車検、無保険の上に無免許運転の可能性すらある。
2019年には1万8607人も無免許および無資格運転で摘発されている。悲しいかな、世の中には本当に順法意識の低いユーザーが存在する。それはあなたのすぐそばを走っているかもしれないし、そうしたユーザーとの事故に巻き込まれてしまうかもしれない。