都心から西へ300km! 運よく「超長距離客」を乗せたタクシー運転手がまず最初にすべきこととは?

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タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は「長距離客、長時間客」について。

取材ヘリに誘導されて一般道を1時間

街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)

 幸い、天気は薄ぐもりだが道路に雪はない。とりあえず言われた方向に飛ばして走った。だが、始めのインター入り口がすでに道路封鎖されている。ガードマンが立ちふさがっており頑として入れない。

 すると、後ろから走ってきた別の大手新聞社の社旗をはためかせた車が無理やり突破していった。同乗の記者たちからは「抜かれるな、頑張って突破してくれ!」と必死に頼まれるが、覆いかぶさったガードマンを跳ね飛ばすわけにもいかない。

 いくら指示されても、できることとできないことがある。

 高速道路を使えないため一般道を走ることになったが、道路は事故の影響で大混雑している。すると、ひとりがトランシーバーで取材ヘリと連絡を取り出した。

「えー、××取材ヘリ、こちら取材班です。道路の誘導を上空から指示してください、現在位置は××交差点付近、どうぞ」

 相手側から要領を説明される。タクシーは上空のヘリから「その先すぐを左に曲がり農道を走ってください」「その先のため池の先を右折して」「Yの字を左へ」と次々と誘導され、その通りに走った。

 ひとつ間違うと大変だ。くねくね曲がっているが渋滞は全くゼロの、近道なのか回り道なのか分からない泥道を1時間くらい走った。周囲の畑はまだ雪が残っている。ヘリの音が遠のいていくと、それで何とか現場に到着した。

 道中、狭い車の中で原稿らしきものを書きまくる記者を見ながら「どんな仕事も楽はない、大変だ」と思った。

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