なぜ猫の救援要請は「6月」に急増したのか? 自動車に潜む“冬の風物詩”の裏にあるリスクとは
「猫のエンジンルーム侵入は冬の問題」――そんな常識が揺らいでいる。JAFによると、2025年6月の救援要請は402件と11月の約4.8倍に達した。背景にあるのは子猫の行動活発化と都市の駐車環境の変化だ。数秒の確認で防げる身近なリスクは、今や個人ドライバーだけでなく、企業の車両管理やモビリティサービス運営にも関わる課題となりつつある。
広がる運用管理の課題

背景には、猫という存在が私たちの暮らしのなかで以前にも増して身近になっていることもある。
ペットフード協会の2025年調査によると、国内の猫の飼育数は約884万7000頭に達した。新たに飼われ始めた猫も33万3000頭となり、市場全体は大きな増減なく推移している。また、平均寿命は16歳まで延びており、猫と長い時間をともに過ごす暮らしが広く定着していることがうかがえる。
かつては「飼い猫」や「地域の猫」として捉えられていた存在が、いまでは多くの家庭にとって家族の一員になった。その意味で、エンジンルームへの入り込みは動物の話にとどまらず、人とモビリティの関係を考える上でも見過ごせないテーマになっている。
さらに、この問題は個人ドライバーだけのものではない。
営業車や配送車、社用車など多数の車両を運用する企業にとっては、車両の稼働率や保守管理に関わる課題でもある。カーシェアリングやレンタカーのように、ひとつの車両を複数の利用者が使うサービスでは、利用者が気付かないままトラブルが発生する可能性もある。
近年は、モビリティサービスを提供する事業者側がアプリや車載システムを通じて利用者に確認行動を促す取り組みもみられるようになった。大がかりな設備投資ではなく、出発前のひと言や画面上の通知によって事故やトラブルの発生確率を下げようという考え方だ。
猫チェックは、一見すると小さな習慣に見える。しかし視点を広げれば、人と動物、そしてモビリティが共存するための運用の知恵ともいえる。移動そのものだけでなく、移動を支える仕組み全体でリスクを減らしていく。そんな発想が少しずつ広がり始めている。