「世界第2位の湖」で小型ボートが環境破壊! 救世主はオランダのスタートアップ、一体どんなビジネスモデルなのか?

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ケニア近くのビクトリア湖で近年、新たな環境ビジネスが始まっている。事業を手がけているのはオランダのスタートアップであるASOBO社。いったい何を行っているのか。

船舶がもたらす環境負荷とは

ベンゼン(画像:イラストAC)
ベンゼン(画像:イラストAC)

 一般的に船外機の排気口は水中にあることから、燃料の燃焼により生じる排ガスは湖に排出されている。ディーゼルエンジンから排出される汚染化学物質は、次のとおりだ。

・アセトアルデヒド
・エチルベンゼン
・キシレン
・トルエン
・1,3-ブタジエン
・ベンゼン
・ホルムアルデヒド

 いずれの物質も、発がん性などの影響を人体に及ぼすとされており、日本では大気汚染防止法で有害大気汚染物質として指定されている。また、ベンゼンのように水質汚濁防止法において、排出基準が定められている物質もある。

 湖のような閉じた生態系では、おびただしい数の漁船から排出される化学物質の影響が、海洋とは異なり顕著に表れるのではないだろうか。加えて、ナイル川下流域に生活している人々の健康被害を鑑みると、環境改善に向けてのはたらきは早急に進められるべきだろう。

ASOBO社が手がけるビジネスモデルとは

ドイツのTorqeedo社の船外機。写真は類似モデル(画像:Torqeedo)
ドイツのTorqeedo社の船外機。写真は類似モデル(画像:Torqeedo)

 ビクトリア湖の水質汚染問題を解決すべく、オランダのスタートアップであるASOBO社が、ケニアのムビタにある漁村において、新たなテスト事業を開始した。

 ASOBO社は船の電動化を進めるべく、地元の漁師に電動式船外機とバッテリーをレンタルし、加えてバッテリー充電サービスを提供している。料金は機器のリースが40セント(約54円)、バッテリーへの充電が150セント(約204円)である。いずれもひと月あたりの値段であり、破格のサービスといえよう。

 なお今回の事業では、ドイツのトルキード社が開発した電動式船外機とバッテリーを使用している。モーターは7kWのディーゼルエンジン船外機相当の出力を有しており、全長13m程度の木造船であれば、問題なく操業できるという。

 また、衛星利用測位システム(GPS)との連動によりバッテリーが切れるまでの距離を表示し、電池切れで漂流するリスクを低減している。なおバッテリー充電には、太陽光発電を利用した充電施設を使用するとのことである。

 ASOBO社によると、地元漁師の収入で容易に利用できるようにするとともに、ディーゼルエンジンよりオペレーションコストを下げるために、レンタル料金を低めに設定したとのことである。今後は電動式船外機の普及を図り、5年後には少なくとも5000隻へ導入することを目標としているそうだ。

ASOBO社に資金提供する団体

国際気候イニシアチブのウェブサイト(画像:ドイツ連邦環境省)
国際気候イニシアチブのウェブサイト(画像:ドイツ連邦環境省)

 なおASOBO社が展開している事業は、ドイツ連邦環境省による国際気候イニシアチブ(IKI)から資金提供を受けている。

 IKIは、発展途上国や新興国を中心に、気候変動や生物多様性の保護を目的とした小規模なプロジェクトを支援してきた。活動は2008年に始まり、既に800以上のプログラムに対し、総額500億ユーロの資金援助を行っている。

 今回ASOBO社が参加しているIKIプログラムにより、ケニアやコロンビアを始めとした16か国で、17のプロジェクトが実施中である。予算総額はおよそ500万ユーロであり、この中からASOBO社は、19万7000ユーロの支援を受けている。

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