EV「世界3割」の衝撃――日本車の逆転なるか? 中国勢シェア55%の“関ヶ原”で進む再編と技術融合

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世界の新車販売でEVシェアが3割に達する2026年。市場は補助金頼みの黎明期を脱し、エネルギー危機や地政学リスクが交錯する実力勝負の“関ヶ原”へと突入した。中国勢が供給網を掌握する一方、問われるのは道具としての信頼性と知能化への対応だ。混迷する時代、日本車が培った「確かさ」は逆襲の盾となるか。

補助金頼みの終焉と燃料高騰

リポート「エネルギー危機への対応として、各国や消費者が動きを見せていることから、今年販売される自動車の30%近くが電気自動車になると見込まれている」(画像:国際エネルギー機関)
リポート「エネルギー危機への対応として、各国や消費者が動きを見せていることから、今年販売される自動車の30%近くが電気自動車になると見込まれている」(画像:国際エネルギー機関)

 2026年に入り、EV市場を巡る空気はより複雑さを増してきた。第1四半期の動きを振り返ると、各国の政策転換とエネルギー情勢の荒波が、同時に押し寄せた格好だ。米国では2025年9月にトランプ政権がEV購入への税額控除を打ち切り、中国でも手厚い支援の見直しが進んだ。これまでのように手放しで補助金に頼る時期は過ぎ、市場が自らの力でふるいにかけられる段階へと移りつつある。

 その一方で、市場を動かすもうひとつの力が強まっている。中東情勢が緊迫の度を深めたことで、ガソリン価格が跳ね上がったのだ。日々の出費に敏感な買い手にとって、燃料代の変動に振り回されない電動化車両への関心は、切実な動機となって表れている。

 燃料供給の先行きが読みづらくなるなかで、電気を賢く使う車は、暮らしの安定を守るための備えとしても存在感を増した。IEAの分析が示す通り、EVは主要な市場で着実にコスト面での強みを磨いており、変動の激しい燃料価格に不安を抱く層の受け皿となっている。こうした流れは、プラグインハイブリッド車やハイブリッド車までをも含めた、全方位で備える戦略の価値を改めて浮き彫りにした。不測の事態でも足を止めない強さが、実利を求める人々の需要と結びつき、市場の姿を塗り替えようとしている。

 土台となる技術や環境も、着実に整ってきた。バッテリー価格は下がり、街中の充電インフラも広がりを見せている。もはや一過性の流行ではなく、長く使った際の経済性を見極めて車を選ぶという、当たり前の流れが定着し始めたといえるだろう。

 今のエネルギー危機への公的な対応が、市場に再び勢いを与える可能性も否定できない。世界各地で車の価格が目に見える形となって示されるなか、技術は人々の暮らしの奥深くまで、確実に浸透し続けているのだ。

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