ただの「うるさいトラック」じゃなかった? SNS広告疲れの時代に、“街を走る広告”が再評価される理由

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広告認知56.4%、購買検討は8.1倍――。騒音や景観問題で賛否を呼ぶアドトラックが、いま都市広告市場で存在感を強めている。スマホ広告が流される時代、4t車両の“物理的な圧”が消費者心理を動かし始めた。

記憶を定着させる音のトリガー

渋谷のスクランブル交差点(画像:写真AC)
渋谷のスクランブル交差点(画像:写真AC)

 今回の調査で目立っていたのは「音」にまつわる回答である。

「音と一緒にキャッチコピーやカラフルな広告が流れてくるので印象に残る」(30代・東京都)
「音楽をともなっていることが多いので、耳で聞いてからトラックを見る流れで印象に残る」(40代・神奈川県)

といった声が並んだ。とかく大型ラッピングばかりに目が向きがちなアドトラックだが、実は視覚よりも先に聴覚がその役割を果たしているのだ。

 耳に届く音は、目から入る情報を脳が受け入れるための下地を作る。都市の雑踏という騒音のなかで、特定のメロディや声が近づき遠ざかっていく変化は、人間が反応を避けられない刺激として届く。まず音で注意を引き、視線をそちらへ向けさせ、巨大な絵で記憶に蓋をする。こうした一連の流れが街のあちこちで自然に起きている。

 これは画面内で完結してしまうスマートフォン広告にはない強みだ。アドトラックの場合、広告は物理的な空間そのものと結びついて記憶に刻まれる。今回の調査で高い関心や購入検討の数字を記録した背景には、聴覚を突いた強制的な気づきがある。音が呼び水となって、渋谷や新宿といった街の風景と商品のイメージが脳内でわかちがたく結びついた結果ではないか。

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