ただの「うるさいトラック」じゃなかった? SNS広告疲れの時代に、“街を走る広告”が再評価される理由
広告認知56.4%、購買検討は8.1倍――。騒音や景観問題で賛否を呼ぶアドトラックが、いま都市広告市場で存在感を強めている。スマホ広告が流される時代、4t車両の“物理的な圧”が消費者心理を動かし始めた。
回避不能な物理的アプローチ
今の広告市場を見渡すと、スマートフォンを通じた広告接触量は増える一方だが、こうした急増は
「広告疲れ」
を生んだ。SNSを流れる広告は飛ばされ、動画の合間の宣伝はスキップされ、画面端のバナーに至っては無意識のうちに視界から追い出される。業界ではこうした現象を「バナーブラインドネス」と呼んで久しい。
こうした背景から、広告市場ではあえて
「避けられない広告」
に光が当たっている。アドトラックはその筆頭だ。デジタル広告が画面内のささやかな表示にとどまるのに対し、こちらは道路という公共の場を物理的に占拠する。スマホのように一瞬で消し去ることはできず、4tもの巨大な物体が視界をふさぎ続ける強引な割り込みこそが、高い広告到達率を支える土台となっている。
人が歩いているときや信号待ち、あるいは交差点で立ち止まった瞬間の注意力の空白を突いて、情報は入り込む。今回の調査でも
「信号待ちをしている時によく目に付くイメージがある」(30代・東京都)
「ぼーっとしている時に無意識に入ってくる」(30代・神奈川県)
といった声があった。自ら情報を探しにいく広告とは性質が異なり、都市を移動する時間そのものを広告の場に変え、その大きさによってわずかな時間であっても歩行者の視線を奪い去っていく。