なぜ今“MR2復活”が現実味を帯びるのか? 最終利益3兆円のトヨタが示す、ミッドシップ再挑戦の可能性
EVシフトと環境規制で国産スポーツカーが縮小するなか、トヨタは過去最高の利益を背景にミッドシップ開発を前進させる。一方、ホンダは4000億円規模の営業赤字見通しで岐路に立つ。名車復活を左右するのは、ブランドではなく経営体力そのものだ。
上場来の赤字と再起のNSX

ホンダには「NSX」という、ブランドを形作る大切な車がある。2代目まで国内外で高い評価を受け、2023年には北米のアキュラからEVスーパーカーの試作案が示されるなど、次を待ち望む声は根強い。国産スポーツカーのひとつの高みに達したその力は、今なお多くの人を惹きつけてやまない。
だが、足元の経営状況に目を向けると、1957(昭和32)年の上場以来ともいえる苦境に立たされている。2026年3月期の連結決算では、本業の儲けを示す営業損益が4000億円規模の赤字に沈む見通しだ。1兆2134億円の黒字だった前期から一転したのは、北米でのEV需要の冷え込みにより、予定していた3車種の開発を止めたことが重くのしかかったためだろう。これにともなう損失は2兆5000億円に上り、最終的な純損益も最大6900億円の赤字を見込む。
この巨額の損失を受け、今はHVを柱とした立て直しや中国市場の立て直しを急いでいる。NSXのように多くの資金を注ぎ込むモデルを続けるのは、今の状況では難しいかもしれない。それでも、かつて初代から2代目の間には10年の空白があった。新しい成長戦略が実を結び、収益が戻ったその先に、再びブランドの顔が戻ってくる余地は残されているはずだ。
2025年に日産のGT-Rも生産を終えており、国内の各メーカーは今、自社を象徴する車をどう守り抜くかという問いに向き合っている。