なぜ今“MR2復活”が現実味を帯びるのか? 最終利益3兆円のトヨタが示す、ミッドシップ再挑戦の可能性
EVシフトと環境規制で国産スポーツカーが縮小するなか、トヨタは過去最高の利益を背景にミッドシップ開発を前進させる。一方、ホンダは4000億円規模の営業赤字見通しで岐路に立つ。名車復活を左右するのは、ブランドではなく経営体力そのものだ。
実戦投入で磨く市販化の精度

トヨタは世界ラリー選手権(WRC)の舞台に長く立ち続けており、現在はヤリスWRCがその役目を担っている。
2025年に入ると、車体の中央にエンジンを置くミッドシップ方式の車両開発がにわかに現実味を帯び、10月には試作車である「TGRR GR Yaris M Concept」が走り始めた。GRヤリスを土台にしながらも、前方にあったエンジンを後ろの荷室部分へ移したこの車は、載せられた新型2.0Lターボエンジンの存在も相まって、これからの多くのモデルに広がる次世代ユニットとして関心を集めている。
この試作車は、国内の「スーパー耐久シリーズ」岡山ラウンドに出向き、完走しただけでなくグループ総合3位という成績を収めた。トヨタ側が
「活動のゴールは市販化」
といい切っているように、これは形だけの制作ではない。売れる商品としての完成度を追い求めている。特有の動きや冷え方の難しさといった課題も、レースという厳しい現場で答えを探ることで、開発にかかる時間を縮めつつ、信頼性を確かなものにしている。
かつてのMR2以来、こうした開発には長い空白があった。しかし実戦を重ねることで、積み上げてきた知見をさらに深めている。2026年のスーパー耐久開幕戦でクラス優勝を遂げた実績は、発売を前にして強力な武器になるはずだ。これからのスポーツカー市場を支える重みのある期待が、この歩みには詰まっているのだ。