東京メトロ決算、鉄道依存度「92%」という現実――利益895億円でも変われない収益モデルの実像
東京メトロは2026年3月期決算で営業収益4224億円、営業利益895億円と増収増益を確保した。収益の9割超を鉄道が占める一方、不動産は高利益率を持ちつつも規模は小さい。上場後も慎重な投資姿勢を保ちつつ、駅直結型開発で外部連携を広げる動きが見え始めている。
少数精鋭で高利益な不動産

前述の連結決算によると、同社の同期の不動産事業は、営業収益が前年比0.2%増の146億9400万円、営業利益が同4.7%増の43億9900万円となった。営業収益に占める不動産事業の割合は3.5%にとどまるが、利益率は30%と高い水準にある。同期は物件売却による賃貸収入の減少があった一方で、新たに取得・開業した物件(TS青山ビル、メトロステージPLUS中野弥生町など)や、渋谷マークシティの賃貸収入増加により増収増益となった。
同社の不動産事業は、賃貸を中心とした安定収入型を主軸としつつ、不動産の売却・取得・開発の動きを早めることで、売買をともなう事業の強化も進めている。賃貸用不動産は、自社施設や保有地の周辺を中心に、オフィスビル、商業ビル、住宅、ホテル、開発用地などの取得を進めている。取得範囲は駅徒歩圏まで広げる方針である。売買型の事業では、価値を高めた不動産を東京メトロプライベートリート投資法人などへ売却し、回収した資金を新たな取得や開発に回す考えだ。
なお、4月28日の説明会では、不動産取得額が当初計画を下回った理由について質問があり、同社は
「投資基準に見合う物件が想定より少なかった」
と説明した。同社が重視する「駅直結」「駅至近」といった条件を満たす案件は市場に多くなく、その結果として投資枠に届かなかった形である。一方で、基準に合わない案件を無理に取得する考えはないとしている。
また同社は、店舗賃貸事業、広告事業、光ファイバー賃貸事業をライフ・ビジネスサービス事業としてまとめている。同期の営業収益は263億8800万円、営業利益は85億2700万円で、利益率は32%と高い水準にある。