東京メトロ決算、鉄道依存度「92%」という現実――利益895億円でも変われない収益モデルの実像

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東京メトロは2026年3月期決算で営業収益4224億円、営業利益895億円と増収増益を確保した。収益の9割超を鉄道が占める一方、不動産は高利益率を持ちつつも規模は小さい。上場後も慎重な投資姿勢を保ちつつ、駅直結型開発で外部連携を広げる動きが見え始めている。

営団から上場企業への変遷。

サンケイビルとの共同事業となる複合開発の完成予想図(画像:東京メトロ)
サンケイビルとの共同事業となる複合開発の完成予想図(画像:東京メトロ)

 東京メトロの前身である東京地下鉄道は1920(大正9)年に設立され、1927(昭和2)年に上野~浅草間で日本初の地下鉄を開業したことで知られている。

 1941年には、同じく地下鉄を運営していた東京高速鉄道と統合され、日本政府と東京都が出資する帝都高速度交通営団が設立された。2004(平成16)年に東京メトロ(東京地下鉄)として株式会社となるまで、長く「営団地下鉄」の名で広く知られていた。

 2004年の株式会社化により、分類上は公共企業体・特殊法人から大手私鉄へ移った。さらに2024年10月23日には東京証券取引所プライム市場に上場している。上野~浅草間2.2kmで始まった路線網は、戦前から戦後にかけて段階的に広がり、2024年時点で9路線・195kmとなっている。ほかの鉄道事業者と相互直通運転を行う区間を含めると361.6kmに及ぶ。

 大手私鉄のひとつに数えられるものの、他社が都心と郊外を結ぶ路線を中心に持つのに対し、同社の路線は都心部に集まっている。初期に開業した銀座線と丸ノ内線を除き、他の大手私鉄やJRと相互直通運転を行っており、競い合う関係よりも協力関係が強い。また、長く公共企業体として運営されてきた経緯から、不動産事業など鉄道以外の分野は限られた範囲にとどまっていた。

 優良企業であった営団地下鉄が株式会社化と上場に至った背景については複数の見方があるが、事業の広がりを見据えた判断であったことは確かだといえる。

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