「世界シェア7割の牙城」に中国企業が揺さぶりか? ヘッドライトは“光学部品”から“知能プラットフォーム”へ、日欧優位を崩す構造転換の行方とは
中国の通信大手ファーウェイが、自動車の重要保安部品であるヘッドライトを起点に車載体験の再定義を加速している。日欧が世界シェア約7割を握るなか、ソフトとAIを軸に“光の情報化”を武器にする新勢力が、産業構造の主導権を揺さぶり始めた。
混迷する国際規制と中国の先行実績

各国が敷く規制の網は、ヘッドライトの技術開発を大きく左右する。光の強さや照らす範囲は安全に直結するだけに、国ごとに厳重な管理がなされている。それぞれの道路事情に根ざした考え方が基本にあり、世界で足並みが揃っていないのが現実といえる。
平均速度の速い欧州では、厳しいUN規制が主流だ。遠くを見通す力を保ちながら、対向車を眩ませない配慮が欠かせない。明暗の境目をくっきりとさせ、荷物の重さなどで変わる車の傾きを直すレベリング機能の搭載も求められる。ハイビームの明るさは1個あたり21万5000cd以下と、比較的高めの設定だ。一方で米国は、数十年にわたって独自の道を歩んできた。連邦自動車安全基準(FMVSS)が2022年にようやく重い腰を上げるまで、配光を自動で操るような最新技術は認められず、なかば世界から切り離されていた。
この米国の基準は対向車への配慮がいくぶん緩く、角度を直す機能の義務化もされていない。明るさの上限も7万5000cd以下と、欧州の3割程度に留まっている。こうしたバラバラな規制の枠組みは、世界で戦うメーカーにとってコストを膨らませる重荷だが、中国勢にはむしろ追い風だ。日米欧が古いルールの調整に手間取っている間に、自国の巨大市場を実験場として使い、実績を積み上げている。決まったルールを守る段階から踏み出し、光による新しい情報のやり取りを世界標準として広めていく。そんな思惑が透けて見える。