「世界シェア7割の牙城」に中国企業が揺さぶりか? ヘッドライトは“光学部品”から“知能プラットフォーム”へ、日欧優位を崩す構造転換の行方とは

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中国の通信大手ファーウェイが、自動車の重要保安部品であるヘッドライトを起点に車載体験の再定義を加速している。日欧が世界シェア約7割を握るなか、ソフトとAIを軸に“光の情報化”を武器にする新勢力が、産業構造の主導権を揺さぶり始めた。

娯楽空間へと広がる「光」の役割

AITO「M9」(画像:華為技術)
AITO「M9」(画像:華為技術)

 ファーウェイが世に送り出した「XPixel」は、およそ3年前から市場で見かけるようになり、すでに「Huawei Stelato S9」などの車種で実績を重ねている。今回お披露目されたフルカラー対応の最新版は、スマート照明としての多機能さを突き詰め、安全性と使い心地を一段と引き上げた。スマートフォン事業で培った高精細な映像処理や、自社開発OSの知見をこの分野に持ち込んだ格好だ。対向車を眩惑させないよう光を操る「高精度アダプティブ・ドライビング・ビーム(ADB)」をはじめ、夜間の視界を広く保つ「照明ブランケット」、歩行者に意思を伝える「補助運転灯」といった安全機能を備えている。

 また、フルカラーへの対応は演出の幅を大きく広げた。ヘッドライトをプロジェクターとして使い、車の前方に100インチもの映像を映し出すことができる。屋外での映画鑑賞やスポーツ観戦など、車との新しい過ごし方の提案といえるだろう。路面に映した図形でゲームを楽しんだり、持ち主が近づくと歓迎のアニメーションを流したりと、これまでの車の枠組みに縛られない発想が随所に光る。ソフトウェアを更新していくことで、手放すまで車の価値を高め続ける仕組みを目指しているようだ。

 車が止まっている時間さえも娯楽に変えてしまう。こうした発想は、これからの新しい収益の源となるはずだ。ハード単体の性能を競うのではなく、OSを含めた体験全体の質を上げていく。そんな戦略が見て取れる。これらの機能は、ファーウェイとSERESの提携ブランドであるAITOの「M9」を皮切りに、広州汽車とのQijing「GT7」、さらに自社ブランドLuxeedの「V9 MPV」などへ順次載せられ、すでに走り始めている。

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