「価格競争が終わらない」 中国自動車“薄利多売の刺客”はどこまで広がるのか? 海外生産340万台という競争前提の変化
中国勢の海外生産は2025年120万台から2030年340万台へ拡大し、16か国以上に広がる。価格は2年で2割下落。輸出から現地網へ転じ、競争の軸は製品から連携とソフトへ移った。既存勢は対応の遅れが重い課題となる。
競争構造の転換

今の流れが続けば、企業同士が競う時代は終わり、関係する企業が網のようにつながった集団同士の争いが常態になる。自動車メーカーという枠も、通信やエネルギーの分野と重なり合い、境目が見えにくくなる見込みだ。ソフトが主導する開発の形が広がり、新車の投入の間隔はさらに短くなる。
将来は、車そのものの差が小さくなり、勝敗は車に組み込まれたプログラムの出来で決まるようになる。かつてのパソコンや携帯端末と同じく、機械としての性能差は重視されにくくなる。各国の規制や安全基準によって既存メーカーが一時的に有利となる場面はあっても、産業の流れそのものが元に戻ることは考えにくい。この変化は、産業のあり方を大きく変える動きである。
経営陣に問われているのは、個々の戦い方ではなく、競争の前提そのものだ。一社で独立して戦うのか、他社と組み、より大きな経済圏のなかで戦うのか。収益の源がどこへ移りつつあるのかを見極め、それを取り込めているかどうか。また、顧客が求める価値を誰が握っているのかを見つめ直す必要がある。
日欧のメーカーにとって、エンジンの感触や緻密な組み立ては長く強みであった。しかし、それらの価値が薄れる将来において、過去の成功を手放す覚悟があるかが問われる。今のあり方を自ら見直し、新しい形へ移れるかどうかがわかれ目となる。この課題に応えられない企業から、市場を去る流れが強まる。覚悟を欠いた変化は、実質的には敗北に近い。