日産、歴史的「1100万台」拠点を中国勢と共有へ――稼働率5割の英国工場で進む“相乗り”、突きつけるグローバル再編とは
稼働率5割、年27万台に落ち込む日産サンダーランド工場を巡り、中国・奇瑞汽車との“相乗り”協議が浮上。スペイン・南ア・英国へ広がる拠点継承は、Re:Nissanの再建と世界の生産地図再編を同時に揺さぶる。
協業拡張を巡る不確実性

奇瑞が日産の生産拠点を引き継ぐ。それは、機械や建物を手に入れる以上の重みを持つ。現地で育った熟練の働き手や、長年かけて地域に張り巡らされた部品の供給網を、そのまま自らの勢力下に置くことを意味するからだ。
日産が歳月をかけて築き上げた産業の土台を、奇瑞は苦労なく使いこなすことができる。この構図が続く限り、奇瑞は驚くほどの短期間で日産に対抗しうる力を蓄えていくはずだ。皮肉なことに、日産が拠点を守るために選んだ「協力」という道が、結果として強力なライバルを自らの手で育てることにならないか。そんな懸念が、業界内では拭いきれない。
もちろん、資産の売却や共同利用によって固定費を削ることは、今の経営状況を見れば合理的な判断といえる。だが、コストを削るだけで競争力が戻るほど、今の市場は甘くない。
自社がどこで主導権を握り、どのような価値を世に送り出し続けるのか。その道筋を、これまで以上に鮮明に打ち出す必要があるだろう。EVの中身を磨くのか、それとも地域に根ざした独自の車作りで勝負するのか。守るべき領域をはっきりさせなければ、資産の手放しは、単なる事業の縮小に拍車をかける結果に終わりかねない。
奇瑞との関係を、工場の貸し借りという一時しのぎの枠組みに留めるのか。それとも、それを足がかりに新しい稼ぎ方を見いだすのか。日産が下すこれからの判断は、同社の行方を大きく左右することになる。