日産、歴史的「1100万台」拠点を中国勢と共有へ――稼働率5割の英国工場で進む“相乗り”、突きつけるグローバル再編とは

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稼働率5割、年27万台に落ち込む日産サンダーランド工場を巡り、中国・奇瑞汽車との“相乗り”協議が浮上。スペイン・南ア・英国へ広がる拠点継承は、Re:Nissanの再建と世界の生産地図再編を同時に揺さぶる。

日産・東風関係とEV開発主導権

日産・N7(画像:日産自動車)
日産・N7(画像:日産自動車)

 日産と東風汽車集団。この20年以上に及ぶ蜜月関係がいま、新たな局面を迎えている。東風が掲げるEV強化戦略「DNA+」と、日産の再建計画「Re:Nissan」が重なり合ったことで、両者の立ち位置が大きく入れ替わったからだ。

 日産は現在、中国でつくった車を海外へ振り向ける仕組みを整える一方で、電動車の開発に関わる主導権を事実上、東風側へと移した。東風が抱える2000人規模の専門チームを使い、EVやプラグインハイブリッド(PHV)を素早く市場へ送り出す。この体制から生まれたEV「N7」の堅調な滑り出しは、自前主義を捨て、他社の力を借りてスピードを買う手法の有効性を証明した形だ。

 2026年4月に発表された日産の長期ビジョンを見ても、その方向性は鮮明だ。2030年度に中国で100万台を売るという目標の真んなかには、東風との連携で生まれる「Nシリーズ」が居座っている。

 だが、この「東風モデル」を、英国工場の相乗りで名を連ねた奇瑞汽車にそのまま重ね合わせるのは早計だろう。

 国営の東風とは違い、奇瑞は自らの判断で動く民間としての足場を何より重んじている。特定のメーカーと一蓮托生の関係になることは、彼らにとって経営の自由を縛る重荷になりかねない。日産側にしても、今は海外拠点の余剰な設備をいかに減らすかが先決だ。奇瑞はあくまで、空いた生産枠を埋めてくれる貴重な“お客さま”という位置づけだろう。

 今のところ、両社の距離が共同開発のような深い領域まで縮まる気配はない。そこにあるのは、互いの利害が重なる部分だけを手堅く結ぶ、ドライで現実的な関係だ。

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