日産、歴史的「1100万台」拠点を中国勢と共有へ――稼働率5割の英国工場で進む“相乗り”、突きつけるグローバル再編とは

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稼働率5割、年27万台に落ち込む日産サンダーランド工場を巡り、中国・奇瑞汽車との“相乗り”協議が浮上。スペイン・南ア・英国へ広がる拠点継承は、Re:Nissanの再建と世界の生産地図再編を同時に揺さぶる。

転換局面と稼働率低下

日産・英国サンダーランド工場で生産されるリーフ(画像:日産自動車)
日産・英国サンダーランド工場で生産されるリーフ(画像:日産自動車)

 日産の英サンダーランド工場が、転換期を迎えている。1986年の稼働開始以来、この拠点は1983年始動の米テネシー州スマーナ工場に次ぐ、同社の海外戦略を支える歴史的な顔であり続けてきた。

 現在も約6000人の従業員を抱え、関連企業を含めれば3万人規模の雇用を地域に生み出している。日々500万個もの部品が吸い込まれていくこの巨大な生産拠点は、2023年6月に累計生産1100万台という金字塔を打ち立てたばかりだ。

 しかし、足元の数字は厳しさを物語っている。2025年の生産台数は約27万台。50万台を超えていた2010年代前半から見れば、ほぼ半減した計算だ。欧州市場での苦戦や車種の絞り込み、急速に進む電動化への対応が重なり、稼働率は5割を割り込む状況が続いている。

 日産は現在、2027年度までに世界17工場を10か所へ集約する経営再建計画「Re:Nissan」を推し進めている。ただ、このサンダーランド工場については、あえて削減の対象から外した。ここは日産の電動化戦略において譲れない場所だからだ。2013年から生産を続ける「リーフ」の累計台数は28万台を超え、2025年末には3代目の新型、2027年には電気自動車(EV)「ジューク」の投入も控える。隣接地では中国エンビジョングループ傘下のAESCがバッテリー供給を担うなど、EV製造のサプライチェーンはすでに整いつつある。

 英国政府にとっても、国内のEV製造能力を守るうえで、この工場は外せないピースだ。日産にとって拠点の維持は、英国との協力関係をつなぎ止めるための責任という側面もあろう。コロナ禍による停止や、2025年7月に実施された250人の早期退職募集など、固定費を削る努力は続けてきた。だが、自社製品だけで年60万台の枠を埋め切ることは、今の市場環境では難しい。

 そこで浮上したのが、生産ラインを外部に開放し、新たな収益源を求めるという方針だ。中国・奇瑞汽車との協議は、まさに操業度を安定させるための、実益を重んじた苦渋の、かつ現実的な選択といえる。

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