日産、歴史的「1100万台」拠点を中国勢と共有へ――稼働率5割の英国工場で進む“相乗り”、突きつけるグローバル再編とは

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稼働率5割、年27万台に落ち込む日産サンダーランド工場を巡り、中国・奇瑞汽車との“相乗り”協議が浮上。スペイン・南ア・英国へ広がる拠点継承は、Re:Nissanの再建と世界の生産地図再編を同時に揺さぶる。

日産生産資産継承の加速

Tiggo 9(画像:奇瑞汽車)
Tiggo 9(画像:奇瑞汽車)

 奇瑞汽車集団は、第一汽車や上海汽車などと並び、中国の自動車業界で「五大勢力」の一角を占める存在だ。2025年の販売台数は280万台強を記録し、前年から約8%の成長を遂げた。特筆すべきは輸出の勢いだろう。前年比で

「約17%増」

となる134万台超を海外へ送り出し、中国勢としては首位を独走している。現在は東南アジアや南米でも生産網を広げており、世界市場への攻勢を強める。

 奇瑞が日産から引き継いだスペイン工場の歩みを振り返ると、興味深い符合が見えてくる。1983年に稼働した同工場は、日産が長らく欧州の足がかりとして活用してきたが、2021年末にその幕を閉じた。そこに2024年、奇瑞が合弁という形で入り込み、現在は自社ブランド「瑞虎(Tiggo)」のプラグインハイブリッド車(PHV)を生産している。さらに、日産が閉鎖を決めた南アフリカのロスリン工場も手中に収めた。2027年半ばの稼働に向け、着々と準備を進めている。

 日産が手放した拠点を奇瑞が次々と拾い上げる背景には、

「市場参入の時間を買う」

狙いがあるだろう。ゼロから土地を探して建屋を建てるのではなく、すでにある設備や供給網、そして熟練した働き手をそのまま引き継ぐ。そうすることで、欧州などで厳しさを増す関税障壁や規制を、手際よくすり抜けることが可能になる。

 メキシコのCOMPAS工場でも、動きは加速している。2025年11月にはインフィニティが、2026年5月にはメルセデス・ベンツの生産が順次終わる見通しだ。一方で、奇瑞は2022年のメキシコ進出からわずか3年で存在感を高め、2024年には約3万台を売り上げた。

 もし英国での協議がまとまれば、日産の拠点を奇瑞が受け入れるという流れは、決定的なものになるだろう。日本メーカーが長い年月と労力をかけて築き上げた資産を、後発勢力がそっくり活用して勢力を広げていく。そんな光景が、世界のいたるところで現実のものとなっている。

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