ホルムズ海峡再び緊張、原油90ドル台――物流収支を揺るがす構造【短期連載】1リットルの重み(2)
- キーワード :
- トラック
ホルムズ海峡の緊張再燃で原油が再び1バレル90ドル台へ上昇するなか、日本の物流は輸送費1.4億円規模でも利益146万円という薄利構造にある。転嫁率34.7%で最下位、燃料高と倒産321件が示す限界に直面している。
中小輸送業の収益限界

トラック事業者は営業収支率が低く、費用増を吸収する余力が乏しい。そのなかで課題は燃料費だけにとどまらず、人件費の上昇にも及んでいる。人手不足が広がるなかで、働く環境の改善に加え、賃金引き上げも避けられず、事業の継続そのものが重くなっている。
すでにその兆しは出ている。帝国データバンク「倒産集計2025年度報」によれば、道路貨物運送業の倒産は高い水準が続き、2025年度は321件で過去4番目の多さとなった。全業種のなかで、人手不足を理由とした倒産の12.5%、物価上昇を理由とした倒産の9.4%をこの業種が占めている。
今後も燃料費の上昇、人手不足、人件費の増加という三つの負担が重なり、中小のトラック事業者の退出は続くと見られる。人手不足や人件費の上昇については、自動化や作業の効率化、共同配送、賃上げなど対応の余地がある。一方で燃料費の上昇は、国際情勢に左右される動きが続き、経営を大きく不安定にする要因となる場合もある。
特に懸念されるのは地方である。地域の物流を支える中小事業者は、いわば物流の細かな流れを担っており、その力が失われれば供給の流れは末端から乱れていく。商品が店に届かない、部品が工場に届かないといった事態は現実的な問題になり得る。
地方の路線バスやフェリーの減便や廃止がすでに社会問題となっているが、物流も同じ構造の問題を抱えている。公共交通の弱体化は移動の制限だが、物流の弱体化は日々の生活そのものに影響する。物が届かない、店の棚から商品が消えるといった状況は、すでに遠い話ではない。