日産、欧州で従業員1割削減――サンダーランド工場「ライン統合」が映し出す、EU規制と低稼働率の厳しい現実

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日産は欧州従業員の1割削減と英工場のライン統合を決定。EU規制や離脱後のコスト増で稼働率は50%に低迷しており、構造改革を断行する。スペインの拠点閉鎖や中国メーカーとの工場共用も検討。産業空洞化が進む英国で、拠点の再設計と規制への適応を通じ、変化の激しい市場での生き残りを目指す。

英仏貿易の巨額損失と事業再編の波

日産自動車の英国サンダーランド工場。2023年撮影(画像:日産自動車)
日産自動車の英国サンダーランド工場。2023年撮影(画像:日産自動車)

 ステファン・セジュルネ欧州委員会上級副委員長が打ち出した産業加速法案。これが現実のものとなれば、英仏海峡をまたぐ貿易において最大700億ポンド(約1兆5000億円)もの巨額な損失が生まれる。

 英国自動車製造販売業者協会(SMMT)が発したこの警告は、業界に小さくない衝撃を与えている。その根底にあるのは、サプライチェーンを欧州域内で完結させようと突き進むEUの産業政策と、そこから取り残されかねない英国の危うい立ち位置だ。

 日産自動車に目を向ければ、ルノーとの長年の関係をどう生かすかが焦点となる。英国に拠点を置きつつも、いかに欧州のサプライチェーンに深く食い込み、その不可欠な一部として機能し続けられるか。今回のリストラ策では、スペインの倉庫閉鎖や北欧市場の構造改革も検討されており、欧州事業全体の大胆な再編が進んでいる。複雑に絡み合う規制の隙間を読み解き、政治が生む不透明さを収益へと変えていくしたたかさが、いまほど求められているときはない。

 一方、ドイツ自動車工業会(VDA)がこの動きに反対の姿勢を見せている点は見逃せない。過度な囲い込みは、かえって国際競争力を削ぎ落とすのではないか。世界中に販路を持つドイツ車にとって、域内の保護よりも世界市場での戦いやすさを優先したいのは本音だろう。

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