日産、欧州で従業員1割削減――サンダーランド工場「ライン統合」が映し出す、EU規制と低稼働率の厳しい現実
日産は欧州従業員の1割削減と英工場のライン統合を決定。EU規制や離脱後のコスト増で稼働率は50%に低迷しており、構造改革を断行する。スペインの拠点閉鎖や中国メーカーとの工場共用も検討。産業空洞化が進む英国で、拠点の再設計と規制への適応を通じ、変化の激しい市場での生き残りを目指す。
離脱後のコスト増と稼働率低迷の罠

英国はEUを離脱したことで、地理的な近さはそのままに、貿易上の摩擦という抜き差しならない問題を抱え続けている。その影響は、もはや無視できない規模にまで広がった。かつては国境を意識することなく流れていた部品の動きは、ブレグジットによって分断され、欧州のサプライチェーンそのものを変質させてしまった。
離脱後の現場を苦しめているのは、煩雑を極める通関手続きや、日英欧で異なる規制の壁だ。これらが重なり合うことで、輸送や調達にかかる費用は膨らみ続けている。だが、真に深刻なのは目に見えるコストだけではない。効率を極限まで突き詰めた生産現場にとって、わずかな部品の到着遅れは致命傷となる。
事実、サンダーランド工場の稼働率は現在50%程度にとどまっており、低迷する稼働率が経営の屋台骨をじわじわと削っているのが実情だ。こうした物流の滞りを補うため、人工知能を用いた通関予測や、地域ごとの拠点分散といった備えが不可欠となっているが、それ自体がさらなるコスト増を招くというジレンマに陥っている。
一方で、より根深い課題も横たわる。EVの要となる電池の材料は、英国や欧州内では十分に確保できていない。域内での調達比率を高めようにも物理的な限界があり、この現実は、公的な手厚い支援を受ける欧州勢に対し、日本メーカーを極めて不利な立場に追い込んでいる。