日産、欧州で従業員1割削減――サンダーランド工場「ライン統合」が映し出す、EU規制と低稼働率の厳しい現実
日産は欧州従業員の1割削減と英工場のライン統合を決定。EU規制や離脱後のコスト増で稼働率は50%に低迷しており、構造改革を断行する。スペインの拠点閉鎖や中国メーカーとの工場共用も検討。産業空洞化が進む英国で、拠点の再設計と規制への適応を通じ、変化の激しい市場での生き残りを目指す。
域内供給を強いる欧州の戦略的規制

欧州が打ち出す「メイド・イン・欧州」という新たな産業の枠組みは、産地の証明にとどまらない。その本質は、製品のサプライチェーンを強引にでも域内へ引き込もうとする、極めて戦略的な意志の表れである。特に対象として照準を合わせているのが、次世代の主役であるEVや電池、そして産業用車両といった重要分野だ。背景には、世界的な分断の深まりやサプライチェーンの脆さ、さらには米国や中国との激しい産業競争が影を落としている。
EVの普及とともに、クルマの価値を決める尺度は一変した。いまや車両価格の約4割を占めるのは電池である。この心臓部をアジア勢に握られている現状に対し、EUは自域の主導権を脅かすものとして強い警戒を隠さない。今回の規則は、原料の精製から加工、組み立てに至る全工程をデジタルで追跡し、欧州独自の基準を満たさない製品を市場から事実上排除する狙いがある。
英国製や日本車に対しては、当面は猶予が認められている。しかし、EUが規制の手を段階的に強めていく方針に揺らぎはない。ひとたび関税が導入されれば価格競争力は失われ、メーカー各社は欧州現地での生産を加速させざるを得なくなるだろう。規制に合わせてサプライチェーンを根底から作り替えるこの動きは、結果として、条件を満たせない競合相手を市場から締め出す強力な障壁として機能することになる。