「赤字1億円は無駄じゃない?」 神奈川の“AIオンデマンドバス終幕”が突きつけた厳しい現実、地域交通再設計への知見は残ったのか

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AIで最適化すれば移動は変わるのか。神奈川・松田町の「のるーと足柄」は累積赤字約9300万円、収支率8.9%に沈んだ。登録者1076人に対し実利用は4分の1。稼働率46%が示した需要の実像とは何か。

地域差が生む利用実態のばらつき

のるーと足柄の実際の利用者数推移(画像:松田町)
のるーと足柄の実際の利用者数推移(画像:松田町)

 タウンニュース足柄版は、地域ごとに利用者の求めるものが大きく異なる実態を伝えている。2023年10月に始まったのるーと足柄の実証運行は、本年度で終了する見通しだ。町は2025年11月末までアンケートを行い、今後の公共交通のあり方を検討している。町によると、1台あたりの乗り合わせは平均で2、3組にとどまった。乗客が少ない時間帯でも車両を動かし続けたことが、収支を圧迫した。この背景には、地域ごとの

・地形
・人の動き

の違いがある。寄地区では利用者の多くが新松田駅へ向かうため、移動の向きがそろいやすく、効率よく回せていた。一方で、ほかの地域では行き先が分散し、同じやり方を続けるのは難しかったという。

 特定の場所に集まる移動と、各地へ散る移動とでは、求められる役割が異なる。行き先がばらばらな地域では、実質的に個別の送迎に近い状態となり、乗り合わせによる効果は生まれにくい。利用者が求める使いやすさと、運営側が負担できる費用のつり合いが取れなかった。

 実証の終盤には、稼働時間の短縮や特定の地区への専用車両の投入など、実態に合わせた運用へと見直しが進んだ。この経験で得られた知見は、一律のサービスではなく、地域の特性に応じた組み合わせを考える材料になるだろう。

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