大型ミニバンに「5人乗り」がないのはなぜか?――少子化時代でも7~8人乗りが主流なワケ

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日本では世帯人数が2.21人まで減る一方、乗用車の77.6%が保有されるなかでも、大型ミニバンに5人乗りがない理由は明確だ。購入は日常平均ではなく、最大人数に備える判断であり、3列シートを持つ多人数対応力と中古価値が商品力を支えているためである。

「いざという時」に応える価値

大型ミニバン3列シートの理由。
大型ミニバン3列シートの理由。

 大型車の価値は、多人数で移動できる点に集まっている。5人乗りを新たに用意すれば、この強みを自ら弱めることになり、SUVやセダンとの違いもあいまいになる。

 メーカーにとっては、需要が限られる5人乗りを増やすよりも、7人乗りや8人乗りの形を保ち、「いざという時に多く乗れる」性能を確保する方が、商品としての力を保つうえで合理的である。

 日常の使い方が買い物や用事で4割強を占め、2033年に平均世帯人数がふたりを下回る社会になっても、多人数仕様を続ける理由ははっきりしている。利用者が車に求めているのは、将来のはっきりしない移動需要にも対応できる力だからだ。3列目シートを残すことは、座席数を確保する意味にとどまらず、暮らしの幅を保つ備えとして働いている。

 ふだんは少人数で使っていても、多人数で乗る場面を残しておきたいと考える人が多い。この一見矛盾したような使い方が、大型車を日本独自の高付加価値商品として成り立たせている。

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