大型ミニバンに「5人乗り」がないのはなぜか?――少子化時代でも7~8人乗りが主流なワケ
日本では世帯人数が2.21人まで減る一方、乗用車の77.6%が保有されるなかでも、大型ミニバンに5人乗りがない理由は明確だ。購入は日常平均ではなく、最大人数に備える判断であり、3列シートを持つ多人数対応力と中古価値が商品力を支えているためである。
過去の「4人乗り超高級仕様」の登場実績

大型車で定員を減らした例はすでにある。トヨタは過去、アルファードをもとにした「ロイヤルラウンジ」という高級仕様を販売していた。3列目の席をなくし、後席をふたりとした4人乗り(前席ふたり + 後席ふたり)のモデルだ。後席には電動リクライニング機能付きシートや大型画面を備え、運転手付きで乗ることを前提とした移動空間として作られた。2006(平成18)年に初代が登場し、トヨタモデリスタインターナショナルが完成車として販売した。
価格はガソリン車とハイブリッド車ともに1531万円から1578万円と、一般的な乗用車を大きく上回る水準だった。限られた顧客層を想定した「移動する応接室」で、2019年12月に生産を終えた。
この考え方はその後も続いている。2024年12月下旬、アルファードの一部改良に合わせて、トヨタ車体が仕立てを担当する4人乗り仕様「Spacious Lounge(スペーシャスラウンジ)」が発表され、2025年1月から販売が始まった。3列目をなくし、後席を2席とした運転手付き仕様で、仕事での移動や来客のもてなしを想定している。レクサス初のミニバン「LM」にも同じような座席構成がある。ロイヤルラウンジの考え方は今も受け継がれている。
こうした少人数仕様がごく高い価格帯の利用者に限られているのは、工場の組み立てと関係がある。標準の車は3列シートを前提に工程が組まれており、5人乗りのような少数仕様を同じ流れに混ぜると作業が複雑になり、効率が落ちる。特別な仕様は専門会社が仕上げる形になっており、一般向けの価格帯で5人乗りを広く出すのは、事業の構造上むずかしい。