大型ミニバンに「5人乗り」がないのはなぜか?――少子化時代でも7~8人乗りが主流なワケ
日本では世帯人数が2.21人まで減る一方、乗用車の77.6%が保有されるなかでも、大型ミニバンに5人乗りがない理由は明確だ。購入は日常平均ではなく、最大人数に備える判断であり、3列シートを持つ多人数対応力と中古価値が商品力を支えているためである。
市場を縮小させる少子化と世帯構造の変化

大型車に5人乗りがない理由には、社会の変化も関係している。総務省統計局の2020年の国勢調査では、1世帯あたりの人数は2.21人で、1990(平成2)年以降は一貫して減っている。単身世帯は約2100万世帯で全体の38.1%を占め、その割合は高まっている。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計でも、平均世帯人数は2033年に1.99人となり、初めてふたりを下回る見通しだ。2050年には1.92人まで減るとされる。「夫婦と子ども」の世帯も、2020年の約1400万世帯から2050年には約1100万世帯まで減ると予測されている。
世帯人数が減る一方で、大人数での移動機会は少なくなっている。だが実際の購入判断は、日々の平均人数ではなく、盆や正月など特定の時期に起きる最大人数に合わせて行われる。家族が分かれて暮らすことが増えた社会では、大型車は離れて暮らす親族を一台に乗せて移動する役割を持つ。とくに高所得層では、高齢の親を連れて出かけるなど三世代での移動を支える価値が大きい。
世帯規模が小さくなるほど、こうした場面を一台でまかなえる車の存在は限られていく。メーカーが多人数仕様を残すのは、平均的な使い方ではなく、最も人が集まる場面の価値に応えることが、高価格帯の車を成り立たせる条件になっているのだ。