自工会が掲げる「新7つの課題」の空白地帯 自動車産業は人々を惹きつける基幹産業であり続けられるのか
2030年代に労働人口が20%減少する自動車産業。AI・ロボットで生産性向上を図る試みが進む一方、デジタル人材確保や若者のブランド離れが課題となり、基幹産業の持続性が問われている。
持続的成長の条件

自動車産業が成長を続け、さらに発展するには、業界全体で自らの存在価値を示す必要がある。生産性を20%高めるには、AIやロボットを自在に扱える高度な専門家を確保しなければならない。しかし現行の産業構造が、そうした人材を引きつけられるかは不透明だ。世界的なIT企業が高額な報酬や柔軟な働き方を示すなかで、自動車産業が示すべきは、社会課題を解決する力である。
カーボンニュートラルや交通安全、地域の移動難といった生活に直結する価値を、具体的な収益モデルをともなう事業として示せるかが問われている。自工会が掲げる「新7つの課題」で、「人材基盤の強化」を検討段階に留めた事実は、この分野が最も変化させにくいことを示している。改革は人を通じて進む以上、人を引きつけられない産業に持続性はない。
これまでの「ものづくりの強さ」という自負が、デジタル化の流れを阻んでいないか。機械を組み立てる産業から、社会全体の効率を高める知能産業へと変わる必要がある。働きがいのある産業としての地位を確立できるかが、今後の産業の行方を左右する分岐点となる。この変化をやり遂げられるかどうかが、日本の基幹産業の命運を決めるだろう。