自工会が掲げる「新7つの課題」の空白地帯 自動車産業は人々を惹きつける基幹産業であり続けられるのか
2030年代に労働人口が20%減少する自動車産業。AI・ロボットで生産性向上を図る試みが進む一方、デジタル人材確保や若者のブランド離れが課題となり、基幹産業の持続性が問われている。
人材課題の検討段階

自工会が「人材基盤の強化」を検討中としている件について、佐藤会長は会見で次のように説明した。
「自動車産業の労働人口の減少の見通しはかなり厳しく、2030年代にはもう今から20%減ぐらいの状態になる。日本で車を開発し、生産するには20%の生産性を上げないと、同じ状態を作れないという危機意識がある。そこに対し、AI(人工知能)やロボティクスなどの生産性向上に向けた日本らしいアプローチをしていくという議論はあるが、それをリードできる人材、どのようなスキル、どのようなメンバーがそこにエンゲージ(従事)すればその形を作れるのか、そういうところからまず議論をしている」(『日刊自動車新聞』2026年3月24日付け)
自動車業界は2030年代に労働人口が2割減る現実に直面しており、デジタル技術による生産性向上で不足を補うことが急務だ。この20%という数字は、単に労働力を補うだけでなく、
「開発体制全体の見直し」
も迫るものである。AIやロボットの導入は作業の自動化にとどまらず、熟練者の技能をデジタル化して次世代に引き継ぐ取り組みでもある。
この変化は、機械工作を得意とする人材から、ソフトウェアで価値を生み出す人材への重心の移動を示している。自工会が具体策を示せない背景には、
・年功序列を基本とする従来の評価制度
・外部流動性の高いIT人材の獲得競争
が組織内で折り合わない現実がある。人材基盤のあり方を決めることは、産業の基盤を根本から整える作業に等しい。この構造的な摩擦が、この項目を「検討中」にとどめさせているのだろう。