「不戦の盾」か「格好の標的」か――日米共同備蓄は本当に日本を救うのか? 現状わずか「7日分」、高市政権が挑む安保戦略の虚実

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高市首相が打ち出した日米原油共同備蓄は、日本の国家備蓄146日分・民間101日分に対しわずか7日分に過ぎない。集中型か分散型か、優先供給の実効性、地政学リスクと費用をどう折り合うかが、日本経済と安全保障の命運を左右する。

米政権方針と需給構造への影響

ドナルド・トランプ米大統領(画像:EPA=時事)
ドナルド・トランプ米大統領(画像:EPA=時事)

 米国のトランプ政権は、もともと地球温暖化に懐疑的な姿勢を取り、化石燃料の活用拡大へとかじを切ってきた。米国産原油の増産や供給網の整備、消費の拡大は、この方針と重なる。原油が安定して、かつ比較的安い水準で供給されれば、移動手段の電動化の流れは鈍る可能性が高い。これは自動車産業の経営判断に大きな影響を及ぼすとみられる。

 日本では、港湾や貯蔵施設、輸送網の整備に向けた投資が進むことが期待される。一方で、米国産原油の増産や供給網の整備が遅れ、さらに米国・イスラエルとイランの緊張によって原油不足が続く場合には、かえってエネルギー源の分散が進む可能性がある。その場合、拠点としての価値は下がる。

 日米による原油の共同備蓄を、短期・中期・長期の時間軸で見ると、評価は次のように分かれる。

 短期(~5年)は、供給の安定という面で見れば妥当性が比較的高い。中期(~10年)は、地政学上の不安定さとエネルギー転換の進み方が重なり、評価は定まりにくい。長期(10年以上)は、石油への依存が下がることで前提が変わる。

 原油不足への懸念が現実味を帯び、今後も不安定な国際情勢が続くと見込まれるなかでは、短い期間で見れば日米共同備蓄の経済面での妥当性は比較的高い。中くらいの期間では、地政学上の不安定さとエネルギー転換の進展が重なり、評価は揺れ動く。長い期間では、石油への依存低下により前提そのものが変わることになる。

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