「不戦の盾」か「格好の標的」か――日米共同備蓄は本当に日本を救うのか? 現状わずか「7日分」、高市政権が挑む安保戦略の虚実
高市首相が打ち出した日米原油共同備蓄は、日本の国家備蓄146日分・民間101日分に対しわずか7日分に過ぎない。集中型か分散型か、優先供給の実効性、地政学リスクと費用をどう折り合うかが、日本経済と安全保障の命運を左右する。
集中型拠点と抑止力の前提

拠点を「不戦の盾」として働かせるなら、集中型が有力となる。日本に原油を大きく集め、アジアの供給を支える中核とする考え方である。代えのきかない供給拠点として維持する必要が広く認められれば、破壊にともなう損失が利益を上回り、攻撃に踏み切りにくくなる。また、米国産原油の供給網のもとで同盟国間の軍事関与が強まり、攻撃側の負担が増すことで抑止が働く可能性もある。
ただし、国益を顧みない思想に基づく攻撃であれば、むしろ最大の標的となり、「不戦の盾」が成り立たない場合もある。
原油備蓄施設である以上、「拠点=攻撃目標」というリスクは避けられない。現代の戦闘では、狙いを絞った攻撃が可能となっており、港湾や備蓄基地といった固定された施設は狙われやすい。米国やイスラエルとイランの緊張でも、エネルギー施設が繰り返し破壊されてきたことがそれを示している。加えて、被害は環境にも及びうる。
当然ながら、施設の規模に応じた防衛力の強化が欠かせない。集中型では、施設整備に加え、防衛や環境対策まで含めた費用が膨らみ、必ずしも採算が見込めるとは限らない。一方、分散型は備蓄量を抑えられるため初期の負担は軽くなるが、日本の供給拠点としての重みは下がり、「不戦の盾」としての働きは弱まる。