「中国製EV」が覆した日本車中古神話! 「アフリカ新興国」で何が起きているのか? 50万台普及で明らかになった日本企業の戦略的課題
年45億ドル超の燃料負担と外貨不足に直面したエチオピアは、内燃機関車の輸入を止め電動化へ急転換した。EVは2年で10万台規模に拡大する一方、充電拠点は約50か所にとどまる。政策主導で進む市場の裏側で、基盤整備の遅れが成否を左右している。
税制優遇が押し上げた中国製EV

市場が短い期間で動いた理由は、ガソリン車の輸入禁止だけではない。決定的だったのは、内燃機関車と電気自動車(EV)の間に大きな税負担の差を設けた点だ。エンジン車の輸入には付加価値税15%、物品税は最大100%、付加税10%、源泉税3%が課される。一方で完成車EVの負担は15%に抑えられ、一部を組み立てる車両は5%まで下がる。
この差により、消費者も輸入業者も従来のガソリン車を選ぶ理由を失った。政府は供給を止めるだけでなく、税の構造を変えることで市場の流れを大きく変えた。その結果、国内のEVは2024年に3万台を超え、2025年には10万台を上回る規模に達した。政府は今後10年で50万台を広げ、燃料車の95%にあたる43万2000台を置き換える目標を掲げる。政策は導入段階を終え、車の入れ替えが本格化している。ここで大きく伸びたのが
「中国製EV」
である。外貨に余裕がない国では、購入時の価格が広がりの速さを左右する。性能よりも、安くすぐ手に入ることが重視された。実際、首都のアディスアベバでは、輸入禁止前には手頃だった中古の「スズキ・ディザイア」が420万ブル(423万円)を超える値で取引される一方、比亜迪(BYD)の小型EV「シーガル」は360万ブル(362万円)で売られている。長く共有されてきた
「日本車の中古車は資産」
という見方は、政府の強い税優遇によって価格面で崩れた。この変化は、政府が輸入規制と税制でこれまでの流れを止めたことで起きたものだ。中国メーカーは、示された条件に最も早く合う製品を供給し、地位を固めた。
車両だけでなく、制御技術や充電規格にも中国の技術が広がっている。将来の整備や関連するデータ基盤も、特定の技術に依存する形になりつつあるのだ。