「もう、これ以上は走れません」長距離トラックの“泊まりがけ勤務”は終わりを迎えるのか? 年間労働「2484時間」、中継輸送の現実と運用の壁とは
約29兆円規模の物流を支えるトラック輸送が、いま揺らいでいる。有効求人倍率2.37倍、年間労働時間2484時間という現実の中で、SAを拠点とした交替輸送は持続可能性を取り戻せるのか。
中継輸送の導入状況と運用上の課題

2022年に公表された国土交通省の資料では、ドライバー交替は中継輸送の一形態と位置づけられている。ひとりのドライバーが全行程を担うのではなく、区間ごとに分担する働き方である。車両ごと乗り替える方式、トレーラーの頭部を交換する方式、荷物を別車両へ移す方式があり、いずれも長時間拘束を分散させる狙いを持つ。結果として、労働時間を一定の範囲に収めやすくなるが、運行の前提は大きく変わる。
2025年7月にUnivearth(大阪府大阪市)が実施した「長距離輸送におけるドライバー交替」では、荷主企業の38%が中継輸送を導入している。一方で、その65.8%が運用上の課題を抱えていると回答した。他社の車両やドライバーと連携する場面では、到着遅延や車両不具合が起きた際の責任の所在が曖昧になりやすい。こうした実務上の不確実性が、導入の足を引っ張っている。それでも導入を検討する企業は15%、関心を示す企業は18%に達しており、広がりの余地は残っている。
長距離輸送が宿泊を前提とした働き方から日帰り運行へ移行すれば、労働市場の構図は変わる可能性がある。育児や介護を抱える層にとっても、就労の選択肢として現実味を帯びるためだ。有効求人倍率2.37倍という状況を踏まえれば、人手不足に対する打ち手として期待が集まるのも自然だろう。
ただ、普及が進むかどうかは別の問題になる。実証実験の結果を踏まえつつ、交替拠点の確保や事業者間の合意形成といった現場の調整をどこまで詰められるか。この部分が曖昧なままでは、仕組みとして定着するとはいい切れない。