「もう、これ以上は走れません」長距離トラックの“泊まりがけ勤務”は終わりを迎えるのか? 年間労働「2484時間」、中継輸送の現実と運用の壁とは

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約29兆円規模の物流を支えるトラック輸送が、いま揺らいでいる。有効求人倍率2.37倍、年間労働時間2484時間という現実の中で、SAを拠点とした交替輸送は持続可能性を取り戻せるのか。

実証実験による効率化と環境負荷低減

ドライバー交替方式実証実験概要(画像:NEXCO東日本)
ドライバー交替方式実証実験概要(画像:NEXCO東日本)

 NEXCO東日本の公表データでは、2024年度の実証実験において交替作業の安全性に問題は確認されていない。一般道の走行を避けたことで、1運行あたり約12km、時間にして30分の短縮が生じている。この30分は単なる時間削減にとどまらない。信号や渋滞といった不確定要素を切り離すことで、配送計画の精度が安定する余地が生まれている。

 加えて、事故リスクの低減が確認された点も見逃せない。1運行あたり約7.49kg、年間で約1.9tの二酸化炭素排出量が削減されている。効率化と環境負荷の低減が同時に進む結果だが、この両立がどこまで持続するのかは、まだ検証の途中にあるともいえる。

 現場のドライバーからは、混雑した一般道を走らずに済むことで負担が軽くなるとの声が出ている。運行の安定は、事業者にとっても無関係ではない。事故の抑制は保険料の水準や車両の稼働状況に直結するため、経営判断に影響を及ぼす領域に入る。

 2025年度の実験は、年間を通じて交替場所を確保できるかを確かめる段階にある。ここで問われるのは、制度ではなく運用の持続性だろう。休憩機能を担ってきたSAが、輸送網を支える拠点へと役割を広げつつあるが、その変化がどこまで現場に定着するかは、まだ見えていない。

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