「もう、これ以上は走れません」長距離トラックの“泊まりがけ勤務”は終わりを迎えるのか? 年間労働「2484時間」、中継輸送の現実と運用の壁とは

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約29兆円規模の物流を支えるトラック輸送が、いま揺らいでいる。有効求人倍率2.37倍、年間労働時間2484時間という現実の中で、SAを拠点とした交替輸送は持続可能性を取り戻せるのか。

人手不足と長時間労働の構造的要因

国内貨物輸送量の推移(画像:国土交通省)
国内貨物輸送量の推移(画像:国土交通省)

 厚生労働省の「統計からみるトラック運転者の仕事」は、人手不足の深さを具体的な数値で示している。2024年の有効求人倍率は全職業平均が1.14であるのに対し、貨物自動車ドライバーは2.37に達した。平均の2倍を超える水準で推移していることになる。この差は、賃金水準だけでは説明しきれず、現在の労働環境そのものが選ばれにくくなっている可能性を示唆する。

 労働時間も同様の傾向にある。2024年の年間労働時間は全産業平均が2052時間であるのに対し、営業用大型貨物自動車ドライバーは2484時間、大型車を除く営業用貨物自動車ドライバーでも2424時間と大きく上回る。長時間労働が常態化している状況では、新規参入が進まないのも無理はない。この時間的な負担が、人材確保を難しくする構造として残り続けている。

 こうした状況を受け、国土交通省は労働環境の改善と効率化を狙った施策を進めている。そのひとつが長距離輸送におけるドライバー交替方式である。NEXCO東日本は東北自動車道・佐野サービスエリア(SA)下り線で、2025年12月16日から2026年3月19日まで実証実験を行った。すでに2024年度の9月28日から10月4日に同じ場所で検証が実施されており、今回は本格運用を見据えた継続的な試みだ。

 高速道路の役割も変わりつつある。移動のための通過空間にとどまらず、輸送を維持するための機能を担う場へと広がり始めている。この変化が定着するかどうかで、長距離輸送の前提そのものが揺らぐことになるかもしれない。

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