「受注は増えても作れません」 国策に追い付かない「造船業界」、1万人超の人手不足が浮き彫りにする供給網の深淵とは
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政府が1兆円を投じても解消できない、日本造船サプライチェーンの「人手不足」と「投資停滞」。1万8766社、6兆円規模の産業圏は、2035年受注倍増計画の前に最大1.7万人の空白リスクに直面する。
投資抑制の実態

政府が1兆円を投じ、需要が確約されているにもかかわらず、サプライチェーン企業の設備投資予定は34.5%にとどまり、過去5年間で最も低い。前年の38.7%から4.2ポイント低下した背景には、中小の供給側が2035年以降に強い不信感を抱く現実がある。
過去の大不況を経験した経営層のなかには、国の倍増目標を政治サイクルが生んだ一時的な熱狂とみなし、投資で能力を広げた途端に次の不況で突き放されることを恐れる心理があるだろう。この停滞が官民の投資を妨げる大きな壁となっている。
投資を予定する企業でも、多くは設備の代替(70.4%)にとどまり、デジタル投資(37.2%)や省力化・合理化(35.7%)は現状維持の域を出ない。投資を見送る理由では、
「先行きが見通せない」
が37.5%で最多となり、「投資に見合う収益を確保できない」が19.6%、「人件費の高騰による利益率の低下」が15.2%に上る。仕事はあるものの、投資しても報われないという構造的な不満が現場に根付いている。