「欧州勢にはもう負けられない」 1.3兆円の買収で挑むデンソー、EV心臓部を自前奪還し日本勢の未来を切り拓けるか

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デンソーのローム買収提案を契機に、日本のパワー半導体業界は再編期を迎えた。国内4社の合計シェアは約16%にとどまり、欧米22%のインフィニオンに大きく水をあけられるなか、EV時代の競争力確保が急務となっている。

1.3兆円の巨額投資と国内供給網の強化

デンソーのDFP半導体(画像:デンソー)
デンソーのDFP半導体(画像:デンソー)

 直近の動きを振り返ると、2026年3月6日、デンソーがロームに提示した1.3兆円規模の買収提案が出発点となった。この巨額の投資は、欧米勢に後れを取る次世代技術の実用化を早めるための対価である。両社は2025年5月から提携関係にあり、デンソーはすでにローム株式の約5%を保有している。

 加えて、デンソーは富士電機とも連携し、2116億円を投じてSiCパワー半導体の国内供給網を強化する。三重県いなべ市や愛知県幸田町での生産は2026年9月に開始予定で、富士電機も2027年5月から長野県松本市で供給を始める見込みだ。同時に、ロームと東芝の事業統合も現実味を帯びている。ロームは2023年に東芝非上場化へ3000億円を出資し、2024年7月以降、資本提携を視野に入れた協議を進めてきた。

 共同出資会社による事業集約は、膨張する開発費や投資負担を分担し、厳しい価格競争を乗り切るための布石となる。ロームを中核に据えたデンソーと東芝の攻防は、従来のサプライヤーの立ち位置を根底から変え、産業構造そのものを書き換える動きへとつながっているのだ。

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