「欧州勢にはもう負けられない」 1.3兆円の買収で挑むデンソー、EV心臓部を自前奪還し日本勢の未来を切り拓けるか
デンソーのローム買収提案を契機に、日本のパワー半導体業界は再編期を迎えた。国内4社の合計シェアは約16%にとどまり、欧米22%のインフィニオンに大きく水をあけられるなか、EV時代の競争力確保が急務となっている。
欧米三強との圧倒的格差と海外メディアの冷徹な視線

ロイターは、過去の半導体不足やオランダのネクスペリアによる供給網の混乱に触れている。この影響でホンダや日産が生産を止めた事実は記憶に新しく、パワー半導体の安定確保の重要性を改めて示した。今回の動きが実を結べば、盤石な供給体制が整い、自動車メーカーが求める強固なサプライチェーンが実現する。
米国のIBSは、供給源の集中が淘汰を加速させると見通す。再編が進み企業規模が大きくなれば、顧客とのパワーバランスも変わる。受け身の姿勢を続ける企業は立ち行かなくなるだろう。将来の販路を守るには、調達部門に能動的に関与する力量が不可欠だ。この変革は業界全体の構造を根底から変える力を秘めている。
香港の「JapanTalkBack」による分析では、世界シェアの差は明確だ。英オムディアのデータによれば、ドイツのインフィニオン・テクノロジーズが22.8%、米オンセミが11.2%、スイスのSTマイクロエレクトロニクスが9.9%を占め、欧米3強だけで市場の約半分を握る独占的状況にある。
さらに中国では、政府の資金支援を受けるBYDセミコンダクターやCRRCタイムズエレクトリックが急速に台頭し、既存の序列を脅かす。海外メディアは、日本の企業が小規模に分散している現状を、世界競争における致命的な弱点と見なす。個別の努力だけでは、この圧倒的な規模差を埋めることは容易でないだろう。