「船や飛行機は本当に消えたのか?」 世界を魅了したバミューダ・トライアングル、309人消失の海難事故から読み解く“謎の海域”
米フロリダ、プエルトリコ、英領バミューダを結ぶ海域で船や航空機の失踪が相次いだ「バミューダ・トライアングル」。1918年の309人消失や1945年のフライト19事件が伝説化する一方、事故率は他海域と大差ないとの研究もある。神秘の海域の実像を探る。
海洋環境と航行条件

後年の検証では、バミューダ・トライアングルをめぐる多くの事例に誇張が含まれていたと指摘されている。嵐などの自然条件で説明できる事故も少なくないことが、次第に明らかになってきた。
それでも、この海域をめぐる物語は消えなかった。映画や小説を通じて広まり、やがて「謎の海域」という印象が強く残るようになる。そうして海の伝説として語られるようになった。
この場所を理解するうえで見落とせないのが、海域そのものの環境だ。ここでは強い海流と急変しやすい天候が重なる。
代表的なのがメキシコ湾流である。北米東海岸に沿って北へ流れ、大西洋を横切る巨大な海流だ。流れは速く、沈没船の残骸や漂流物を短時間で遠くまで運んでしまう。そのため事故の痕跡が見つかりにくくなることがある。
この地域はハリケーンや熱帯低気圧の通り道でもある。突然のスコールや雷雨、ウォータースパウト、高波が発生しやすく、天候は短時間で悪化する。衛星観測が広まる前は、船が予測できない嵐に出くわすことも多かった。
カリブ海周辺には島やサンゴ礁、浅瀬も多い。海の地形は入り組んでおり、航路を誤れば座礁や衝突につながる危険もある。
さらに、この海域は北米とカリブ海、ヨーロッパを結ぶ航路の要所でもある。世界でも船の往来が多い場所のひとつだ。船が多く通れば事故の数も増える。結果として、この海域の出来事が強く注目されることになる。