「船や飛行機は本当に消えたのか?」 世界を魅了したバミューダ・トライアングル、309人消失の海難事故から読み解く“謎の海域”

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米フロリダ、プエルトリコ、英領バミューダを結ぶ海域で船や航空機の失踪が相次いだ「バミューダ・トライアングル」。1918年の309人消失や1945年のフライト19事件が伝説化する一方、事故率は他海域と大差ないとの研究もある。神秘の海域の実像を探る。

伝説の誕生と歴史的背景

バミューダ・トライアングルのイメージ。
バミューダ・トライアングルのイメージ。

 長く謎の海難事故が起きる海域として語られてきた場所がある。いわゆる「バミューダ・トライアングル」だ。米フロリダ、プエルトリコ、そして英領バミューダ諸島を結ぶ三角形の海域を指し、北大西洋西部に広がる。

 この海域では、船や航空機が不可解に姿を消したとされる話が長年語られてきた。未知のエネルギーや地球外生命体、さらには時空のゆがみまで持ち出されることもあり、超常現象の舞台として扱われることも多かった。

 この海域の名が広く知られるようになったのは20世紀半ばである。もっとも、大西洋ではそれ以前から船舶の遭難や行方不明は珍しくなかった。1918年には米国海軍の大型給炭艦が消息を絶つ。乗組員309人を乗せたまま大西洋で姿を消した。

 さらに1945年には、米海軍の訓練飛行隊「フライト19」が行方不明になる。フロリダ沖で訓練飛行を行っていた5機の練習機が相次いで通信を失い、その後の捜索でも機体は見つからなかった。

 こうした出来事は、その後も断続的に語られ続けた。失踪した船舶や航空機の話は次第に広まり、やがて尾ひれも付くようになる。

 1964年、作家のヴィンセント・ギャディスが雑誌記事で「死のバミューダ・トライアングル」と名付けたことで、この呼び名は広く知られるようになった。さらに1974年には、作家のチャールズ・ベルリッツが著書『The Bermuda Triangle』(邦題『謎のバミューダ海域』)を出版し、ベストセラーとなる。

 テレビ番組でもこの海域の話題は繰り返し取り上げられた。乗組員のいない漂流船、突然消える航空機、航行計器の異常といった出来事が紹介され、この場所があたかも通常の物理法則が働かない海域であるかのように描かれていった。

 1977年には映画『未知との遭遇』が公開される。監督のスティーブン・スピルバーグは、フライト19の乗組員がエイリアンに連れ去られていたという設定を脚本に取り入れた。

 こうして実際の海難事故とメディアの物語が重なり合い、バミューダ・トライアングルは世界的に知られる伝説へと形を変えていった。

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