「重すぎるEV」の終焉――メルセデスが仕掛ける12.7kgモーター、「200kg減量」の戦略は利益独占か、それとも市場破壊か?

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メルセデス・ベンツはYASAのアキシャル・フラックス・モーターを導入し、12.7kgで1000馬力超の高出力を実現。EV重量を約200kg軽減し、収益性と規制対応力を同時に高める戦略的電動化を加速する。

重量負荷の課題

YASAのウェブサイト(画像:YASA)
YASAのウェブサイト(画像:YASA)

 EVの重量は、電動化を進める上で大きな課題となっている。大型バッテリーを搭載すると車両は膨らみ、運動性能や電費効率、さらには製造原価にも影響が及ぶ。長距離走行を重視すれば、より大容量のバッテリーが必要になり、その重さは数百kgに達する。なかにはバッテリーだけで500kgを超える車種もあり、スポーツタイプ多目的車(SUV)や高級セダンでは車両総重量が2tを上回ることが常態化している。

 車体が重くなると、経済的な負担も連鎖的に増える。加速や巡航に余分なエネルギーを消費するだけでなく、ブレーキや足回り、タイヤの摩耗も早まる。さらに、2t超の荷重に耐えるため、骨格やサスペンションにはより高価で強度の高い材料を用いざるを得ず、部品費の合計を押し上げる。加えて欧州では、タイヤやブレーキから出る粉塵規制が強化されつつあり、重い車体は適合コストの増加や将来的な制裁金のリスクも抱える。

 一部の構成を軽量化できれば、車両全体の効率に好循環を生み出せる。電気モーターの出力密度を高め駆動ユニットを軽くすることは、車体全体の収益性を高め、規制への対応力を強める戦略的投資となる。

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